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【No.215】
カフェスペースの活用

みなさん、おはようございます。
11月に入り、街の空気にも少しずつ冬の気配が漂ってきましたね。温かい飲み物と焼きたてパンが恋しくなる季節。ふと足を止めたくなるような“やさしい香りのするお店”をご紹介します。
今回は、大阪市平野区にある小さなベーカリー、
「アップルの発音」 をご紹介させていただきます。
【アップルの発音とは?】
平野区の落ち着いた住宅街にひっそり佇む「アップルの発音」。店名の響きはユニークですが、店の扉を開けるとふわっと広がるバターの香りや、整然と並ぶ焼きたてパンの表情は、とても真面目で丁寧。
店内奥には小さな空間が隠れるように広がり、普段貸切カフェとして使われつつ、定期的にさまざまな作家さんの個展スペースにも変わるというユニークなスタイル。
“パン屋の奥にギャラリー”
この少し意外性のある組み合わせが、お店全体をほんのりアートな空気で包み込んでいます。






「アップルの発音」のパンは派手すぎず、奇抜すぎず、“毎日食べたい”と思わせるやさしい味わいが特徴。定番と季節限定がバランスよく並び、ついトレーが重くなってしまうラインナップです。
(名前が面白いですよ^o^)
●箱レター¥370
やっぱり!これ!キューブ型の食パン。

●ごちそうさまの前に¥880
マスカットレーズンを使った食パン。

●おぐらさん 完熟ブルーベリーのブリオッシュタルト¥410
契約農家さんのフレッシュ果実。

●さかもと養鶏白鳳卵を使った玉子サンド¥370
素材の拘りが効いています。

●non title ¥410
全粒粉20%ライ麦15%を使用したカンパーニュ。

パンを手に取ると、過剰な装飾よりも“素材に寄り添う姿勢”が感じられ、まるで作り手のやさしさがそのまま形になったようなパンばかりでした。





“個展を開くパン屋”という戦略

【過去の個展の紹介】
1. 浅野千里 個展「TRAVEL TIPS」
会期 : 2025年10月14日(火)〜25日(土)に開催。
絵や陶器小物を制作する浅野千里さんによる展示。
2. 權田直博(画家) × 吉永規夫(建築家)「archive 鳥猿 exhibition」
会期:2025年10月1日(水)〜11日(土) に開催。
異次元的なモチーフを描く畫家・權田直博さんと、長屋再生などを手がける建築家・吉永規夫さんのコラボ展。

【“個展を開くパン屋”という戦略】
パン屋の奥に小さなギャラリー。このスタイルは、単なる貸しスペースではなく、実はとても巧みなブランディング戦略でもあります。
①「日常×アート」の導線づくり
パン屋は生活の中にある“日常の場所”。
そこにアートの要素を持ち込むことで、お店自体が「ふだんの生活に小さな刺激をくれる場所」へと進化。パン目的で訪れた人が作品に出会い、作品目的で訪れた人がパンに出会う。まるで、交差点のような空間が新しい顧客層を自然に引き寄せます。
②“滞在時間”を生み、ファン化を促進
パン屋は本来「買ったらすぐ帰る」店舗ですが、個展スペースがあることで、店内滞在時間がぐっと伸びます。ゆっくり過ごす時間が、お店全体の世界観に深く触れるきっかけになり、結果としてリピーターの増加やファンづくりにつながります。
③地域文化とつながる「ハブ機能」
平野区は個人作家やクラフト作家が点在する地域でもあります。その地域性と“パン屋”という生活導線をうまく接続し、作家の発表の場=地域文化の発信基地としてのポジションを確立。「パン屋さんだけど、文化が息づく場所」という独自性が生まれています。
この3つが掛け合わさることで、「アップルの発音」は単なるベーカリーではなく、“小さな文化サロンのようなパン屋さん” として愛されているのだと思います。
編集後記
平野区は“静かに良いお店が潜んでいるエリア”とも言われますが、その代表格とも言えるのが今回はご紹介したアップルの発音。パンの香りと、作品の世界が一緒に流れる空気感は、忙しい日常の中でほんの少しだけ呼吸を深くしてくれるように思います。
寒くなるこの季節、温かいパンと、気持ちをふっと和らげるアートに触れに、ぜひ訪れてみてください。
ご紹介したお店 

パンとお話 アップルの発音
住所 :大阪府大阪市平野区流町1丁目9−14
営業時間:8:30〜18:00
定休日 :日曜日・月曜日
アクセス:谷町線平野駅5番口 徒歩4分
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