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【No.216】
既存設備を活かす
リノベーション 

みなさん、こんにちは。
気温のアップダウンが続く毎日ですが、街を歩けば焙煎したてのコーヒーの香りに引き寄せられる季節でもありますね。ホッと一息する珈琲専門店。しかも誰かに伝えたくなるような作りのお店が見つかると嬉しくないですか?
これからのホットスポットかもしれませんよ。
今回は「既存の設備を活かして新しい価値を生むお店づくり」について、【パンとエスプレッソと珈琲製作所】を例にご紹介させていただきます。
【パンとエスプレッソと珈琲製作所】
もともとこの場所は、地域の自家焙煎店として長く親しまれてきた小さな工房でした。
焙煎機、作業台、給排気ダクト。時間と共に積み重なった設備は決して“最新”ではありませんが、「場所に染み込んだ空気」とも呼べるような存在感がありました。
「パンとエスプレッソと」は、あえてこの“前の店の面影”を消しすぎず、”パンとコーヒーの空間”へとリノベーションする選択をしました。
新品ピカピカに作り替えるのではなく、“残しながら変える”という独特の手法が魅力です。
例えば!
● 昔からある焙煎機をそのまま活かし、コーヒー豆のラインナップは刷新
● 木製作業台は磨きをかけてサーブ台へ転用
● 古い配管・ダクトは安全確認のうえ、見せるデザインとして露出のまま
● 空いた壁面には、「パンとエスプレッソと」らしい白壁と木の棚を新調
● 外観は大きく変えず、控えめなサインで“新旧の共存”を演出
● スチールの事務机をそのまま使った飲食スペース
古い要素が残るほど、逆に「新しいブランドの優しさ・温度感」が際立つのが面白いところです。コーヒーの香りに、店の過去の時間が重なり、そこに“パンとエスプレッソと”らしい柔らかい空気が混ざり合う、そんな少しノスタルジックな店舗へ生まれ変わっています。







今回、私が訪問した際に頂いたフードメニューは
①生ハムエッグ(サラダセット)¥1,400

その他に
②スパイシースクランブル(サラダセット)¥1,400
③ハチミツバター(サラダセット)¥1,200
④あんバター(サラダセット)¥1,200
その他に、ワッフルメニューやドリンク、ジェラートなどメニューラインナップも豊富です。









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既存設備を活かした
店舗づくりのポイント 

①「レガシー設備のストーリー化」戦略
普通なら取り替えてしまう古い焙煎機やダクトを、“前のお店の歴史を語る一部”として残すのがポイント。
機械がもつ経年の風合いは、新築では出せない唯一無二の個性となり、お客様に「この店には時間がある」と感じてもらえる装置になります。
②「必要最小限の改修で、投資効率を最大化」戦略
すべて入れ替えるのではなく、安全に必要な箇所だけ更新し、活かせるものは徹底して再利用。給排気・電気容量・水回りが既に整っているため、初期投資を抑えながらもクオリティの高い店舗づくりが可能になります。浮いたコストは、パンやコーヒーの原材料・スタッフ育成に回せるため、結果として商品力の強化につながります。
③「“残す部分”と“変える部分”をデザインで仕分ける」戦略
リノベの成功ポイントは、“残し方”が雑にならないこと。
古い設備を残すなら、
・白壁で清潔感を整える
・木の素材で温度を足す
・照明は現代的にして“野暮ったさ”を打ち消す
といった“デザインのバランス調整”が重要。
古さと新しさの境界を曖昧にすることで、「馴染みがあるのに新しい」空間が完成します。
「パンとエスプレッソと珈琲製作所」が示す、新時代の店舗づくりとは、日と々との山本オーナーが持っている「空間から業態を発想する」理念そのものだと思います。そのため、その場所が長年積み重ねてきた空気を尊重し、そこに新しいブランドを重ねていくという手法がとても特徴的。「全部壊してゼロから」ではなく、「歴史を活かして新しい価値を重ねる」という柔軟な発想が、ブランドの世界観の奥行きを作り出しているように感じます。

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編集後記

街中でも、古い喫茶店の跡地や工房跡をリノベして再出発する店舗が増えています。
“完全な新品”が求められた時代から、“場所の記憶を活かす”時代へ。
散歩中に、昔の店舗名の影が残る壁や、年代物の扉を見つけると、「ここがどう生まれ変わるのかな?」とワクワクしてしまいますね。
もし近くに古い工房や小さな喫茶店跡を見つけたら、新しい息吹が生まれる予兆かもしれません。
また素敵なリノベーション事例があれば、ご紹介させて頂きます^o^
ご紹介したお店 

パンとエスプレッソと珈琲製作所
住所 :大阪府大阪市北区西天満5丁目3-2
営業時間:8:00~18:00
アクセス:南森町駅6番出口より徒歩4分
本日はここまでとなります。最後までご覧いただきありがとうございます。
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